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【白井寿昭】「来年のクラシックをどのように戦い、どのようなレース選択をしていくのか?」朝日杯FS回顧(2017)

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広島県出身。厩務員、調教助手を経て1978年に調教師免許を取得した。相馬眼で『白井最強伝説』として広く親しまれている。通算795勝(中央775勝、地方・海外20勝、重賞42勝)

12/17(日) 阪神11R 芝1600m 朝日杯FS

ホープフルSがGIに昇格されたことで、レベルの低下が懸念された今年の朝日杯FSだが、結果的には人気馬が上位を独占し、勝ち時計はレースレコード。来年に繋がる見応えのある1戦となっている。GIの乱立が好ましいことではないが、距離の住み分けがはっきりとすることで見えてくるものもあると思うし、実際に今回のレースは近年でも最上位といえるハイレベルな1戦だった。このレースの上位馬とホープフルSの上位が、来年のクラシックをどのように戦い、どのようなレース選択をしていくのか? そのような楽しみもできたのではないだろうか。

勝ったダノンプレミアムの強さは「別格」と表現すべきものだった。私は常日頃から「未勝利や条件戦では掛かるくらいのスピードを見せる馬のほうがいい」と言っているが、それはGIという究極の舞台で好走するためには「絶対的なスピードが必要」という理由があるためだ。しかし、ダノンプレミアムはGIという舞台においても行きたがるような仕草を見せた。これは気性の問題ではなく、有り余るスピードを押さえきれなかったため…と判断するのが妥当だろう。実際、パドックでの周回は非常に落ち着いたもので、3コーナーを過ぎたあたりで走りが落ち着くと、そこで脚をためることもできている。このような走りができる馬というのは、自滅をする可能性がそこまで高くない。むしろ、このスピードこそを強調すべきなのだ。

今年の皐月賞馬で、同じディープインパクト産駒のアルアインにも言えることだが、ダノンプレミアムも長距離向きの馬体をしているわけではない。ダノンプレミアムの体は母系にいるレッドランサムの影響を受けており、その豊富なスピードは同じく母系にいるデインヒルから受け継いだものと感じている。距離の限界を見せる可能性もゼロではないだろう。だが、その心配が必要になってくるのは、2400mを走るダービー以降のことで、2000mの皐月賞に関しては、まるで問題がないと思う。

阪神JFを勝ったラッキーライラックにも言えることが、2歳のGIを4月生まれの馬が制するということも非常に意味深い。その成長力を加味すれば、3馬身半の差をつけた2着以下の馬に逆転を許すことは、考えにくいのではないだろうか。

これだけのスピードをどのようにコントロールしていくか。課題はそこだけであって、来春の主役となることはほぼ間違いない。楽しみな馬が楽しみな勝ち方をしたものだ。

完敗だった2着以下についても少し述べておきたい。勝ち馬は別格だったが、どれも人気に応える走りはしており、前途は明るいパフォーマンスではあったと思うからだ。

2着のステルヴィオはロードカナロア産駒だが、馬体に伸びがあり、その見た目が短距離馬のそれでないことは、折に触れて話をしてきた。直線でしっかりと伸びた今回の走りはそれを証明するもので、デビュー前は短距離での活躍を期待されたロードカナロアが、実は父のキングカメハメハにも通じる万能な種牡馬であったことも判明した。ロードカナロアは短距離×短距離のような長所をさらに伸ばす配合のほうがいいと思っていたし、実際のそのような馬が多いように感じていたのだが、今後はクラシックを意識させるような繁殖も用意されるのではないだろうか。ステルヴィオ自身の走りも含め、来年以降の動向に注目したいと思う。

3着はタワーオブロンドン。道中の行きっぷりが良かった今回の内容を見ていると、その適性はマイル以下ということになると思う。祖祖母にドフザダービーがいる血統馬。克服する可能性もゼロではないと考えていたが、イルーシヴクオリティが祖父である父系の影響が強い馬と判断していいと思う。

ゴール前で鋭い伸びを見せた4着ケイアイノーテックも能力の高さを示すレースはした。まだ絞れそうな体付きに加え、幼さも残る状況。成長次第でクラシックでも楽しみな馬になると思う。母系のスピードはハイレベルなGIの流れにも十分に耐えられるもの。まずは賞金をしっかりと加算し、大舞台に出走できる権利を手にしてもらいたい。

(※2017年12月執筆)
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