田原基成の予想

【VIP】競馬評論家・田原基成 皐月賞/アンタレスS/福島11R 福島民報杯予想

【中山11R 皐月賞】

「最近どんなアプリ使ってる?」

深夜2時、とあるBARでの会話は自分のルーツを確認させられるものだった。

私がいま、もっとも使用頻度の高いアプリは「スポナビ野球速報」。各試合の一球ごとの速報が送られてくる有能なアプリだ。シーズン開幕後から本当に重宝している。

この話を高校時代の友達に話すと、決まってこう返される。

「あれ? オマエ野球嫌いなんじゃなかったっけ?」

私の高校時代は今風に言えば「ダークサイド」に堕ちていた。希望を胸に抱いた高校で野球部に入った結果、大好きだった野球を最後までやり遂げずに退部した。逃げるのは恥だが役に立つ……そんな言葉が世間に浸透するのは17年後のこと。世間を知らない私の価値観は逃げる=人生の負け組。イチローに憧れた男の末路はひたすらに悲しく情けない。

人間は不思議な生き物だ。

いったん何かを嫌いになったとしてもそこに「嫌い」という感情があれば「好き」に転じる可能性が残される。一球のボールも見たくなかった自分が、今では一球のボールの結果に一喜一憂する。ああ、自分も血の通った人間なんだなぁ……。

男同士で腹を割って話した一軒目。
5度目の追加注文から完全に作り方をマスターした二軒目のもんじゃ焼。
学生時代の勝負ソングを駆使し、タイプの子を朝まで口説いた三軒目のとあるBAR(ガールズバー)。

34歳、競馬評論家のリアルはこんなもんだ。

さて、明日は皐月賞。

ちょうど2年前、私は「皐月賞が高速馬場になる可能性」というコラムを書いた。

鍵となるのは週末の天候と気温。この2つの条件が発動されたとき、高速馬場化は進行する。そしてその仮説は、アルアインが1分57秒8で駆け抜けたことで現実のものとなった。

1週間前、中山芝2000mは3歳未勝利にもかかわらず2分0秒8を記録。例年より早いペースで高速馬場へと変貌を遂げている。もとを辿れば1分31秒7を計時したダービー卿CTから「異変」は起きていたのだが。

週前半の雨が芝を濡らし、その後の好天が芝を芯から強く生長させる。答えはひとつ、1分57-58秒台の高速決着。「皐月賞が高速馬場になる可能性」という想定をした1週前時点で、私の本命は決まっていた。

2枠4番、ダノンキングリー。

前提として、高速馬場の中山ではマイラーが台頭する傾向にある。ノーリーズン、ダイワメジャー、ロゴタイプ、トライアンフマーチ……。一昨年の1.2着馬もそれぞれマイルでの連対歴を持っていた。淀みなく流れるマイル以下での経験値は見逃せない。

それを踏まえ、私が取り上げたいのが共同通信杯。勝ちタイム1分46秒8以上に注目すべきがラスト3Fの数字だ。

【11秒2-11秒0-11秒1】

直線平坦コースの京都ならいざ知らず、場所は東京。東京芝1800mで刻まれるラップを考えるとあまりに現実味がなさすぎる。

「これがGI馬だ! アドマイヤマーズ、格の違いを見せ付ける逃げ切り勝ち!」

こんな予定稿を書いていた記者は真っ青になったことだろう。

余談だが、私はダノンキングリーが制した新馬戦をまったく評価していなかった。「またディープインパクト産駒が東京を勝ったな」程度の印象だ。それを180度変えたのがひいらぎ賞のパフォーマンス。

当時、1000m通過57秒6を見て私は心の中でガッツポーズをした記憶がある。新馬戦との比較でその差は5秒9……普通の馬ならついていくことに精一杯の激流だ。

しかし、ダノンキングリーは違った。

シビれるような手応えでマクリ気味に進出。直線に向くとアッという間に先団を捕らえ、突き放す。ペースなんか関係ない、要は「邪魔さえされなければ良い」次元にある馬なのかもしれない。そんな予感すら漂わせた。

クラシック制覇へのラストピースが完成したのは共同通信杯。疑り深い私はアドマイヤマーズを本命に据えたが、同馬を0秒6上回る上がり3Fはエグさすら感じるもの。もう私のなかでの邪念は晴れた。

ハイペース。
ギアチェンジ。
高速馬場。

もうこれ以上の言葉はいらない。ダノンキングリーが私の本命だ。

……と、ここまでダノンキングリーに対して綴ってきたが、あの馬に触れないわけにはいかない。

サートゥルナーリアだ。

私は弥生賞の見解で、以下のようなことを書いた。

(見解ここから)
サートゥルナーリアは強い。何のアクシデントもなく2019年5月26日の舞台を迎えることができれば九分九厘ダービー馬の座に就くことだろう(見解ここまで)。

今の当時の考えに変わりはない。繰り返すが、何のアクシデントもなく2019年5月26日の舞台を迎えることができれば九分九厘サートゥルナーリアがダービー馬の座に就くことだろう。

だからこそ、皐月賞での死角はある。

過去3戦の走破タイム、上がり3F。ともに特筆すべき数字ではない。ノーステッキの完勝劇を考慮しないのはナンセンスかもしれないが、ステッキを入れたからといって倍以上の切れ味を発揮する保証がどこにあるだろうか。過去の事実をベースに予想を行うのが私のスタイル。決してブレたりなどしない。

狂気をはらむシーザリオ一族の血筋にファーストコンタクトのC.ルメール。仮にダービーを見据えるなら「ぶっ放す」競馬はなんとしてでも避けたいところ。我慢に我慢を重ねた挙句、踏み遅れる可能性は想定すべきだ。

朝日杯FSでグランアレグリアを完膚なきまでにねじ伏せたアドマイヤマーズが相手本線。サートゥルナーリアをそのあとに配置したうえで小回りコース3戦3勝のヴェロックス、良馬場替りでの一変が怖いラストドラフトまでを押さえる。

【中山11R 皐月賞予想の印】
◎4 ダノンキングリー
〇1 アドマイヤマーズ
▲12 サートゥルナーリア
△7 ヴェロックス
△11 ラストドラフト

【3連複/フォーメ】4-1,12-1,12,7,11(5点)

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【阪神11R アンタレスS】

これは難しい。

1週前までは何の迷いもなくグリムで仕方ないと思っていたが、明日の阪神は雨予報。おそらく重-不良レベルまで悪化するだろう。

グリムが馬券圏外に敗れた2戦は稍重-重。渋った馬場に見舞われた青竜Sを勝っているからまったくダメではない。しかし、大得意かと言われれば首を縦に振れない。そんなジレンマを抱える馬だ。

展開も混戦ムードに拍車をかける。

ピオネロ、テーオーエナジー、グリム、リーゼントロック、アナザートゥルース。前走1コーナーを3番手以内で通過した面々だ。お気付きかと思われるが、テーオーエナジーを除く全頭がその形で好走。良い結果を出したパターンを踏襲しない理由がどこにあるだろうか? 勝負ごとのセオリーとして作戦変更などあり得ない。

なお、テーオーエナジーの前走は先行争いを遠慮したことで本来のパフォーマンスを発揮できず。成功体験にこだわるなら無理にでもハナを主張することだろう。乗り替わりの騎手に課せられたミッションは極めてシンプル。となれば必然的にペースは上がる。

以上を踏まえ、ここはグリムから入る。

強い馬は強い。そして、自分が強いと思った馬を最後の最後まで信じ抜く。それが結論だ。

冒頭で私は「グリムが馬券圏外に敗れた2戦は稍重-重」と記した。その事実が消えることはない。重要なのはレース内容をどう精査するか。「芝スタート」にグリム攻略のヒントが隠されているのではないか……私のセンサーが反応した。

オールダートではすべて好走。
戦ってきた同世代は強力。
3歳時に古馬は撃破済み。

グリムには馬場不問のパフォーマンスを期待したい。

3連複フォーメーションの相手に据える3頭はいずれも4歳馬。やはりこの世代を軽視するわけにはいかない。以下、△4頭には展開向く差し・追込馬を中心にピックアップ。

【阪神11R アンタレスS予想の印】
◎4 グリム
〇2 テーオーエナジー
▲14 ヒラボクラターシュ
☆16 クロスケ
△9 アナザートゥルース
△10 ウェスタールンド
△5 ナムラアラシ
△3 ロンドンタウン

【3連複/フォーメ】4-2,14,16-2,14,16,9,10,5,3(15点)

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【福島11R 福島民報杯】

レッドローゼスはわかりやすい馬。雨の影響を受けた馬場で凡走し、良馬場で巻き返す。渋った馬場で凡走後の3戦はいずれもそのパターンだった。

前走大阪城Sは傘の花が開く天候。そのシチュエーションでの馬券圏外なら評価は下がらない。平坦芝右回り2000mは【1-1-0-0】。福島遠征を敢行した鞍上の意気込みも買いたいところだ。

相手本線はこちらも平坦芝右回り2000m【3-1-1-0】と大崩れのないケイティクレバー。この条件はハイペースが基本線も、思わぬスローになれば勝ち切れる能力を秘める。不得手な冬を超えたマウントゴールドに昨年の覇者マイネルサージュ、盲点にある穴馬では、オープン昇級後の大敗は左回りに限定されるゴールドサーベラスまでをケア。

【福島11R 福島民報杯予想の印】
◎13 レッドローゼス
〇3 ケイティクレバー
▲10 マウントゴールド
△5 マイネルサージュ
△9 ゴールドサーベラス

【3連複/フォーメ】13-3,10-3,10,5,9(5点)


【評論家・田原基成の太鼓判&イベント提供レース】
・福島12R→このクラスでは格が違う。
・阪神12R→前走凡走は必然。ここなら巻き返す。
・中山12R→揉まれない位置で先行できれば大崩れはない。

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