田原基成オリジナルコラム

【田原コラム】秋の3歳重賞で穴をあけた馬の共通点

やはりというべきだろうか、先週土日の中山メインはいずれも差し決着に終わった。

先週コラムで【秋の中山芝が差し馬天国である理由】を書いたが、秋の中山芝は本当に差しがよく決まる。外差し馬場を手の内に入れている田辺裕信ともども、今後も注目していきたいところだ。

さて、今週は東西で秋のGIに向けたトライアルレースが施行される。

前哨戦において重要なのは「どういったテーマをもって陣営が臨んでいるか?」を把握すること。春の時点で賞金を加算していた馬は、年内にあと何戦使うのかを逆算したうえで馬を仕上げる。実績馬について、GI前のレースは7-8割程度の仕上げを想像したほう良いだろう。

反対に、100%に近い仕上げが想定されるのは賞金不足の馬だ。

競馬には「最強世代」と称されるようなハイレベル世代が存在する。古くは1995年生まれ世代(スペシャルウィーク、グラスワンダー、エルコンドルパサーなど)、1998年生まれ世代(アグネスタキオン、ジャングルポケット、クロフネなど)、近年では2009年(ゴールドシップ、ジャスタウェイ、フェノーメノなど)が代表格と言えよう。一見すると上がり馬の付け入る隙はなさそうに思えるが、実際はそうではない。

【1995年京都新聞杯】
1着スペシャルウィーク(1番人気)
2着キングヘイロー(2番人気)
3着タヤスメドウ(16番人気)



9着ボールドエンペラー(3番人気)

【2001年神戸新聞杯】
1着エアエミネム(1番人気)
2着サンライズペガサス(7番人気)
3着クロフネ(2番人気)
4着ダンツフレーム(3番人気)

【2012年セントライト記念】
1着フェノーメノ(1番人気)
2着スカイディグニティ(14番人気)
3着ダノンジェラート(4番人気)

【2012年神戸新聞杯】
1着ゴールドシップ(1番人気)
2着ロードアクレイム(8番人気)
3着マウントシャスタ(2番人気)



7着ヒストリカル(3番人気)

4番人気以下で3着内に入った5頭はいずれも春のクラシック未出走馬。また、人気を背負いながら馬券圏外に敗れた馬には「春のクラシック出走組」という共通点があった。とりわけ日本ダービーは何が何でも出走させたい生涯一度の夢舞台……無理を強いた春のローテーションが秋まで尾を引いていた可能性は否定できない。

では、人気に応えて好走した馬の共通点は?

明確な指標を挙げるとすれば持ち時計だ。オール野芝の9月開催は速い時計・上がりが要求される条件で、エアレーション・シャタリングの効いた馬場は開催が進むに連れて時計が速くなる特徴を持つ。馬が走ることで地盤が踏み固められていくからだ。

その結果、新潟・小倉のいわゆる「野芝実績馬」が波乱の使者になるケースが多くなっている。トーセンシャナオー、タガノエトワール、マイネイサベル……フタ桁人気で激走した馬は野芝での好走歴あり。これは重賞に限ったことではないので、ぜひ覚えておいてほしい傾向だ。

今週行われる東西トライアルのメンバーを見渡すと、ローズSは春の実績馬がズラリ。その一方で、セントライト記念は出走馬のほとんどが夏の条件戦を使ってきた馬だ。同じトライアルレースでも対照的な構図にある点は興味深い。

波乱の結末を迎えるのはどちらのレースか?
春の勢力図は書き換えられるのか?
本番を想定した戦法で臨む馬は?

あらゆる視点から想像が膨らむ前哨戦……週末を楽しみに待ちたい。

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