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【海外コラム】2016欧州競馬振り返り(2)

先週からお届けしている2016年の欧州競馬振り返り。前回は古馬戦線について書かせてもらったが、今回は3歳、さらには2017年のクラシックを争うであろう2歳馬について書きたいと思う。

まず3歳勢だが、思い返してみるとちょうど1年前のこの時期に注目を集めていたのは、カルティエ賞を受賞したエイダン・オブライエン厩舎のエアフォースブルーとマインディングだった。ともに2歳時は5戦して、エアフォースブルーがGI3勝、マインディングがGI2勝。それぞれ英2000ギニーと英1000ギニーの前売りで抜けた1番人気に推されていた。

だが、年が明けるとこの2頭は対照的なシーズンを送る。単勝2倍を切る圧倒的1番人気で英2000ギニーに臨んだエアフォースブルーが、ブービー12着に敗れてしまったのである。さらに、同馬は続く愛2000ギニーでも再び8頭立ての7着に惨敗。英2000ギニーの一戦だけであれば休み明けという言い訳ができたかもしれないが、2戦続けての凡走によって評価を急落させ、結局8月のGIIIフェニックススプリントSを最後に引退、種牡馬入りすることになる。

そんなエアフォースブルーに代わって、3歳牡馬のマイル路線を引っ張ったのが英仏愛の2000ギニーを勝ったガリレオゴールド、ザグルカ、オウタードの3頭で、ランフランコ・デットーリ騎手とのコンビで英2000ギニーを制したガリレオゴールドは、愛2000ギニーでオウタードの2着に敗れたものの、3頭揃い踏みとなったGIセントジェームズパレスSを勝利。その際2着だったザグルカも、古馬との初対決となったサセックスSでガリレオゴールド以下を破って優勝したほか、英2000ギニーやサセックスSで僅差の3着に入ったリブチェスターも8月にフランスのジャックルマロワ賞を制した。

また、クラシックディスタンスではハーザンドが英愛ダービーを制覇。以降は影を潜めてしまったものの、前半戦を終えた段階では凱旋門賞の有力馬にも数えられていた。逆に、仏ダービーを勝ったアルマンゾルは秋になって評価を上げた1頭。今年最も豪華なメンバーが揃った愛チャンピオンSを後方一気で制したのに続いて英チャンピオンSも勝利し、3歳牡馬ナンバーワンと呼ばれる存在になった。2000mで実績を残す同馬だが、来シーズンは凱旋門賞参戦が噂されているだけに動向が気になるところだ。

一方、牝馬路線ではマインディングがエアフォースブルーとは対照的に英1000ギニーを1番人気に応えて完勝。鞍上のライアン・ムーア騎手も絶賛する強さで、一時はオーナーであるクルーモアグループが英ダービー挑戦を仄めかす場面もあった。結局、同馬の英ダービー挑戦は実現しなかったが、英オークスを制して牝馬2冠を達成すると、その後も牝馬相手にナッソーS、プリティポリーSを連勝。牡馬との初対決だった愛チャンピオンSは3着に敗れたが、シーズン最終戦のクイーンエリザベス2世Sを制して今年5度目のGI制覇を飾り、最終的に2016年のカルティエ賞で欧州年度代表馬に選出された。

さらに、フランスでも強い牝馬が現れた。日本でもお馴染みのC.デムーロ騎手とコンビを組んだラクレソニエールは、無敗のまま仏牝馬2冠を達成。凱旋門賞は直前で回避することになってしまったが、有力候補筆頭の1頭として日本の各メディアがその名を報じた。上記のマインディングとともにこちらも現役を続けることになっており、活躍が期待される1頭である。

ここまでは現3歳世代の中で特に活躍が目立った馬たちについて振り返ったが、来年はこうした馬たちだけでなく、新たに現2歳世代の有力馬が加わる。ここからは現時点で有力視されている2歳馬の中から特に名前を覚えておいてほしい馬を紹介する。

1頭目は、エイダン・オブライエン調教師の管理馬で、英2000ギニー、英ダービーでそれぞれ前売り1番人気となっているチャーチル。来年の英国クラシックで人気を集めている馬の多くがオブライエン師の管理馬ではあるが、中でもチャーチルはライアン・ムーア騎手が素質を高く評価している馬で、とりわけ英2000ギニーの前売りでは、まだレースまで5ヵ月ほどあるにも関わらず2.25倍という低いオッズがつけられている。5勝全てが7ハロン戦ということもあり、マイルよりも長い距離では不安があるが、マイルまでなら抜けた存在と言えそうだ。

そして、日本の競馬ファンとして忘れてはいけないのがフランスのアンドレ・ファーブル調教師が管理するディープインパクト産駒のアキヒロ。ここまで2戦2勝と成績面ではチャーチルに劣るが、GIIIシェーヌ賞で3着に負かしたナショナルディフェンスが、その後にフランスの2歳牡馬チャンピオン決定戦ジャンリュックラガルデール賞を勝利したように能力は証明済み。フランスではビューティーパーラーがディープインパクト産駒として仏1000ギニーを制覇しているが、牡馬クラシックのタイトル奪取なるだろうか。

そのほかにも紹介したい馬は多数いるが、名前を挙げればキリがない。改めてクラシック前に各国の有力馬をお伝えしたいと思うので、ひとまずこの2頭の名前を記憶に留めておいてほしい。

最後に次回のテーマだが、年明け最初のコラムでは、引き続き2016年の振り返りということで、今度はアメリカ競馬にスポットを当てたいと思う。